「また品番を間違えてしまった……」
「ちゃんと確認したつもりなのに、数量が違っていた」
「周りは普通にできているのに、自分だけミスが多い気がする」
倉庫でピッキング作業を始めたばかりなら、ミスが続いて落ち込むこともあると思います。
わたしは工場・倉庫の現場で20年以上働き、改善活動や安全に関する取り組みにも10年以上携わってきました。
そんなわたし自身も、仕事に慣れてきた頃に積み込みを間違えた経験があります。
そのとき改めて感じたのが、
「次からもっと気をつけよう」だけでは、具体的なミス対策にならない
ということでした。
もちろん、注意することは大切です。
しかし、それだけで終わらせるのではなく、
- どこで間違えたのか
- なぜ間違えたのか
- 何を確認すれば防げたのか
- 次から何をチェックするのか
まで考えることが大切です。
この記事では、ピッキングミスが多くなる5つの原因と、「気をつける」だけに頼らずミスを減らすための対策を、わたし自身の経験も交えて解説します。
ミスをして落ち込んでいる新人の方にこそ、読んでもらえたらと思います。
この記事でわかること
- ピッキングミスが多くなる5つの原因
- 品番や数量の間違いを減らす確認方法
- 「気をつける」だけに頼らないミス対策
- ミスしやすい作業を洗い出す方法
- 同じミスを繰り返さないためのセルフチェック
ピッキングミスが多い=「注意力がない」とは限らない
ミスをすると、
「もっと集中しないと」
「自分は注意力がないのかな」
と思うかもしれません。
もちろん、作業へ集中することは大切です。
でも、わたしはミスを全部「注意不足」で終わらせないほうがいいと考えています。
なぜなら、それでは次に何を変えればいいのか分からないからです。
「次は気をつけます」だけでは何をするのか分からない
たとえば、数量を間違えたとします。
そこで、
「次からもっと気をつけます」
と決めたとしましょう。
でも、次の作業で具体的に何をするのでしょうか。
- 数量を2回見るのか
- 指示書と商品を照合するのか
- 単位まで確認するのか
- 作業後にもう一度確認するのか
「気をつける」という言葉だけでは、実際の行動が決まっていません。
だから、
「気をつける」
から、
「○○を確認する」
へ変える必要があります。
わたしは、「気をつけます」は反省にはなっても、具体的な再発防止策にはならないと考えています。
慣れてきた頃ほど基本の確認を省かない
わたし自身も、ずっとミスなく働いてきたわけではありません。
仕事に慣れてきた頃に積み込みを間違えたことがあります。
新人の頃より仕事を覚え、作業にも慣れてきていました。
だからこそ、どこかに「もう分かっている」という思い込みがあったのかもしれません。
この経験から、慣れた頃こそ基本の確認が大切だと改めて感じました。
新人だけがミスをするわけではありません。
仕事に慣れていても、思い込みや確認不足があれば間違える可能性があります。
だからこそ、注意力だけに頼るのではなく、確認する行動を作業の中に組み込むことが大切なのです。
なぜ間違える?ピッキングミスが起きる5つの原因
ピッキングミスを減らすには、まず「なぜ間違えたのか」を考える必要があります。
ここでは、ピッキングで注意したい5つの原因を見ていきましょう。
原因1|品番・商品名を「見たつもり」になっている
倉庫には、見た目が似ている商品が並んでいる場合があります。
商品名も似ている。
箱も似ている。
品番も一部しか違わない。
こうした商品を、見た目や記憶だけで判断すると取り違える可能性があります。
大切なのは、商品全体をなんとなく見るのではなく、職場で決められた確認項目を照合することです。
「見た」と「確認した」は同じではありません。
自分が何を確認しているのかを意識しましょう。
原因2|数量や単位を思い込みで判断している
品番が合っていても、数量を間違えれば正しいピッキングにはなりません。
たとえば、指示された数量を確認したつもりでも、途中で別のことを考えたり、慣れによる思い込みが入ったりすることがあります。
職場によっては、個数だけでなくケースなどの単位にも注意が必要です。
「いつもこの数量だから」「たぶんこれで合っている」と判断せず、指示された内容と実際の商品を確認することが大切です。
確認すべき項目や方法については、勤務先の作業標準に従ってください。
原因3|遅れていると焦って確認を省いてしまう
新人の頃に起こりやすいのが、周囲とのスピード差による焦りです。
「みんなはもう終わっている」
「自分だけ遅れている」
そう思うと、少しでも時間を短縮したくなります。
- 遅いと感じる
- 焦る
- 確認を省く
- ミスする
- やり直す
- さらに遅くなる
速くしようとして確認を省いた結果、かえって遅くなる。
これは避けたい悪循環です。
数秒の確認を省いても、間違った商品を元へ戻し、もう一度取りに行けば、それ以上の時間がかかります。
ピッキングを速くするためにも、やり直しを減らすことが重要です。
ピッキングそのものを速くする方法については、ピッキングが遅い5つの原因と速くするコツで詳しく解説しています。
原因4|作業手順が毎回変わっている
確認の順番が毎回違うことも、見直したいポイントです。
今日は品番から見る。
次は数量から見る。
忙しい日は確認を一つ飛ばす。
このように作業方法が変われば、確認漏れにつながる可能性があります。
そこで大切なのが、職場で定められた正しい作業手順を毎回繰り返すことです。
決まった流れが身につけば、「今回はどこまで確認したかな?」と迷うことも減っていきます。
原因5|ミスした後に原因を振り返っていない
わたしが特に大切だと思っているのが、ここです。
ミスをして、
「すみませんでした。次から気をつけます」
で終わってしまう。
これでは、同じような状況になったとき、具体的に何を変えればいいのか分かりません。
どこで間違えたのか。
なぜ間違えたのか。
ここまで考えることで、初めて対策が見えてきます。
ミスをした事実だけではなく、ミスが発生した作業を見る。
これが再発防止のスタートです。
【現場歴20年】ピッキングミスを減らす5つの対策
では、具体的にどうすればピッキングミスを減らせるのでしょうか。
わたしが現場で大切だと感じているのは、特別な能力ではありません。
確認を曖昧にしないことです。
対策1|品番・数量・ロットなど「何を見るか」を明確にする
「商品を確認する」と言っても、それだけでは少し曖昧です。
何を見れば確認したことになるのでしょうか。
- 品番
- 数量
- 必要に応じてロット
ロットとは、製造や管理上、同じ条件でまとめられた製品の単位や、それを識別する番号などを指します。
職場によって確認すべき項目は異なります。
大切なのは、勤務先の作業標準に従って、何を確認するのかを自分の中でも明確にしておくことです。
「なんとなく商品を見る」状態から、「○○を照合する」状態へ変えていきます。
対策2|決められた確認方法を省略しない
職場によっては、指差し呼称などの確認方法が定められている場合があります。
指差し呼称とは、確認する対象を指で示しながら、声に出して確認する方法です。
こうした基本動作は、仕事に慣れてくると省略したくなることがあります。
「いつもの商品だから」「もう品番を覚えているから」
そう思うときほど注意してください。
わたし自身も、慣れてきた頃にミスを経験しました。
だからこそ、慣れていても決められた基本を守ることを大切にしています。
忙しい日であっても、勤務先で決められた確認方法や安全ルールを優先しましょう。
対策3|作業手順をルーティン化する
確認漏れを減らすには、毎回同じ流れで作業することも大切です。
たとえば考え方としては、
- 指示を確認する
- 対象の商品を確認する
- 数量などを確認する
- ピッキングする
- 作業結果を確認する
という流れです。
もちろん、実際には勤務先で定められた作業手順を優先してください。
忙しいからといって確認手順を変えたり、飛ばしたりしないことが大切です。
繰り返すうちに正しい手順が身につけば、迷う時間も少なくなります。
対策4|ミスしやすい作業を一度「洗い出す」
これは、わたし自身が改善活動の中で実践してきた考え方です。
まず、普段やっている作業を一度洗い出します。
そして、
- どこで間違えやすいのか
- どこで注意が必要なのか
- どの確認を忘れやすいのか
を整理します。
わたしの場合は、注意が必要だと感じた作業について、セルフチェックするようにしました。
セルフチェックとは、自分がミスしやすいポイントを把握し、決められた手順の中で意識して確認することです。
ピッキングでも、
- 品番で間違えやすい
- 数量確認で間違えやすい
- 最後の確認を忘れやすい
など、人によって注意する場所は違うかもしれません。
「自分はミスが多い」と大きく考えるのではなく、ミスしやすい工程を小さく切り分ける。
これがポイントです。
対策5|「気をつける」を具体的なセルフチェックへ変える
たとえば、数量を間違えたとしましょう。
そこで、
「数量を間違えた。次から気をつける」
だけで終わらせません。
一段深く考えます。
- 数量を間違えた
- どの確認で間違えたのか
- 何を見落としたのか
- 次は何を確認するのか
たとえば原因が単位の確認漏れだったなら、
「次回は数量だけでなく、単位まで確認する」
というように、具体的な行動へ変えます。
これなら、次の作業で何をすればいいのか分かります。
気合いで防ぐのではなく、行動で防ぐ。
これが「次から気をつけます」で終わらせないためのポイントです。
ミスした直後にやりたい「4ステップ振り返り」
ここまで読んでも、
「具体的にどう振り返ればいいの?」
と思う方もいるでしょう。
難しく考える必要はありません。
まずは勤務先のルールに従って、必要な報告・対応を行ってください。
そのうえで、次の4ステップに分けて振り返ります。
STEP1|何を間違えたのか整理する
まずは事実を確認します。
- 品番なのか
- 数量なのか
- 取り忘れなのか
「ミスした」で終わらせず、何を間違えたのかを具体的にします。
STEP2|どの作業で間違えたのか確認する
次に、ミスした工程を考えます。
- 商品を探したときなのか
- 商品を取ったときなのか
- 数量を確認したときなのか
- 最後の確認なのか
工程を絞ることで、どこを改善すればいいのか見えやすくなります。
STEP3|「なぜ?」を具体的にする
ここで、
「注意不足だった」
だけで終わらせないようにします。
なぜ注意できなかったのでしょうか。
- 似た商品だった
- 品番を最後まで見なかった
- 急いでいた
- 数量や単位を思い込んだ
- 確認方法が曖昧だった
原因が具体的になるほど、対策も具体的になります。
STEP4|次回の確認行動を1つ決める
最後に、
「次は何をするのか」
まで決めます。
「もっと確認する」
ではなく、
「○○を確認する」
まで具体化するのがポイントです。
ただし、自己判断で作業標準や設備などを変更しないでください。
改善したい点がある場合は、勤務先のルールに従い、上司や責任者へ相談してください。
ピッキングミスを減らすために「やってはいけない」3つのこと
ミスが起きると、焦ったり落ち込んだりします。
そんなときほど、次の3つには注意してほしいと思います。
NG1|ミスを隠す
「怒られるかもしれない」
「黙っていれば分からないかもしれない」
そう思うこともあるかもしれません。
しかし、ミスや異常に気づいたときは、勤務先のルールに従って必要な報告・確認を行ってください。
早く伝えることで、その後の影響を抑えられる場合もあります。
ミスを隠さないことも、大切な仕事の一つです。
NG2|分からないまま自己判断する
わたしが新人へ伝えたいことの一つが、
「分からないことを自己判断で進めない」
ということです。
「たぶんこれだろう」
「いつもこうだから大丈夫」
と思って作業を進めた結果、間違えてしまえば、やり直しが発生します。
分からない。
いつもと違う。
判断できない。
そんなときは、無理に自分だけで答えを出さず、上司や責任者へ確認してください。
分からないことを確認するのも仕事の一つです。
NG3|ミスした自分を責めるだけで終わる
ミスをすれば、落ち込むこともあると思います。
わたし自身も、積み込みを間違えたときに「やってしまった」と感じました。
でも、
「自分は仕事ができない」
と考えるだけでは、次のミスを防ぐことはできません。
見るべきなのは、自分ではなく、ミスが起きた作業です。
- どこで間違えたのか
- なぜ間違えたのか
- 次は何を確認するのか
この3つを考えるほうが、次の仕事につながります。
ミスをしない人より「ミスから改善できる人」を目指そう
20年以上現場で働いていると、さまざまな失敗や改善を経験します。
だから、新人の方が一度ミスをしたからといって、
「この仕事に向いていない」
とすぐに決めつける必要はないと思っています。
もちろん、ミスを軽く考えていいという意味ではありません。
ミスしたら、必要な報告をする。
原因を考える。
対策を決める。
そして次の作業で実行する。
大切なのは、ミスをした経験を次の作業へどう活かすかです。
改善というと、大きな設備変更や新しい仕組みを想像するかもしれません。
でも、
「ここで間違えやすいから、ここを確認しよう」
と気づくことも改善のスタートです。
昨日と同じ作業を何となく繰り返すのではなく、昨日のミスから一つ改善する。
その積み重ねが、正確な作業につながっていくとわたしは思っています。
まとめ|ピッキングミス対策は「注意」ではなく「確認を仕組みにする」
今回は、ピッキングミスが多くなる原因と対策について、わたしの現場経験も交えながら紹介しました。
5つの対策を振り返ります。
- 品番・数量・ロットなど確認する項目を明確にする
- 職場で決められた確認方法を省略しない
- 正しい作業手順をルーティン化する
- ミスしやすい工程を洗い出す
- 「気をつける」を具体的なセルフチェックへ変える
わたし自身、仕事に慣れてきた頃に積み込みを間違えました。
だから今でも、
「慣れたから大丈夫」ではなく、「慣れていても確認する」
ことを大切にしています。
もし今日ミスをしてしまったなら、
「次は気をつけよう」
だけで終わらせず、
「次は何を確認すれば、このミスを防げるだろう?」
と一度考えてみてください。
ミスした経験を、次のミスを防ぐ仕組みに変える。
そして、分からないことは自己判断せず確認する。
気合いで防ぐのではなく、行動で防ぐ。
これが、わたしが現場で大切にしてきた考え方です。
ピッキングだけでなく、倉庫内作業全体で「安全・正確さ・速さ」をどう身につけるかは、倉庫内作業のコツ5選でも詳しく紹介しています。
安全に、正確に。その積み重ねが、やがて仕事の速さにもつながります。
最後に、ピッキングミスについてよくある疑問をまとめます。
ピッキングミスに関するよくある質問
Q.ピッキングミスが多い原因は何ですか?
A.品番や数量の確認不足、思い込み、焦り、作業手順のばらつき、ミス後に原因を振り返っていないことなどが考えられます。
まず「どの工程で間違えているか」を特定することから始めてみてください。
Q.ピッキングミスを減らすにはどうすればいいですか?
A.「もっと気をつける」と考えるだけではなく、品番・数量・ロットなど確認する項目を明確にすることが重要です。
職場で決められた確認方法を、毎回同じように行いましょう。
Q.同じミスを繰り返してしまうときはどうすればいいですか?
A.ミスした内容だけでなく、「どの作業で」「なぜ間違えたか」まで振り返ってください。
そのうえで、次回実行する具体的な確認行動を一つ決めることが大切です。
Q.ピッキングミスが多いと仕事に向いていませんか?
A.一度や数回ミスしただけで、仕事に向いていないとは決められません。
必要な報告を行い、原因を振り返り、次の作業へ改善を反映していくことが大切です。
Q.ピッキングで確認すると作業が遅くなりませんか?
A.確認には時間がかかりますが、ミスによるやり直しを防げれば、結果として効率がよくなる場合があります。
速さを求めて必要な確認を省略しないでください。
正しい確認を習慣化し、無駄なやり直しを減らすことが結果的なスピードアップにつながります。
