「また間違えてしまった……」
「ちゃんと確認したつもりなのに、なぜ同じようなミスをするんだろう」
工場でミスが続くと、周囲に迷惑をかけているように感じて、
「自分はこの仕事に向いていないのでは?」
と落ち込むこともあると思います。
わたしも工場で20年以上働くなかで、失敗を経験してきました。
指示書や図面の見間違いによる取り間違い。
設定間違い。
測定間違い。
そのたびに、
「次からもっと気をつけよう」
と思ってきました。
でも、現場で働き続けるなかで感じたのは、
「次から気をつけます」だけでは、同じミスを防ぐ具体的な対策にはならない
ということです。
反省だけでは、次の作業は変わりません。
大切なのは、
- どこで間違えたのか
- なぜ、その判断をしたのか
- 次は何を確認するのか
まで具体的にすることです。
そこでわたしは、作業を洗い出し、自分がどこで間違えやすいのかを整理して、必要な確認を意識するようにしてきました。
この記事では、工場勤務20年以上、改善・安全活動10年以上の経験から、工場でミスが多いと悩んでいる方へ、同じ失敗を減らす7つの対策を紹介します。
自分への評価より、まず起きたミスと次の行動を分けて考えてみましょう。
- 工場でミスが続く原因
- 指示書や図面の見間違いを減らす考え方
- 取り間違い・設定間違い・測定間違いの振り返り方
- 「次から気をつける」で終わらせないミス対策
- 同じ失敗を減らす5STEP
- ミスを改善へつなげる考え方
大切なのは、「二度と間違えないように頑張る」ことではなく、「次に同じ作業をするとき何を確認するか」を具体的にすることです。
なぜ工場でミスが続く?「注意不足」だけで終わらせない
仕事でミスをすると、最初に考えやすいのが、
「自分の注意不足だった」
ということです。
もちろん、注意することは大切です。
しかし、すべてを「注意不足」で終わらせると、本当の原因が見えにくくなることがあります。
ミスを「自分の注意不足」で片づけると原因が見えない
たとえば、指示書を見間違えたとします。
そこで、
「もっと集中する」
「次からよく見る」
と反省する。
これだけでは、次の作業で何を変えればいいのか分かりません。
それよりも、
- どの部分を見間違えたのか
- そのとき何を見ていたのか
- どこで間違いに気づけたのか
と考えたほうが、次の行動につなげやすくなります。
ミスをしたときに見るべきなのは、「自分はダメだった」ではなく、「どこで正しい状態からずれたのか」です。
新人だけでなく「慣れた頃」にもミスは起こる
ミスというと、新人がするものだと思われるかもしれません。
でも、仕事に慣れてくると別の注意点が出てきます。
「いつもと同じだろう」
「もう何度もやっているから大丈夫」
「これは分かっている」
こうした思い込みから、必要な確認を省いてしまうことがあります。
わたし自身も20年以上現場で働いていますが、経験年数が長くなったから確認しなくていいとは考えていません。
慣れてきたときこそ、必要な基本確認を省略しないこと。
これは新人だけでなく、経験を積んでからも大切です。
工場で起こりやすい4つの作業ミス
工場の仕事といっても、作業内容は職場によってさまざまです。
ここでは、わたし自身が経験したものを中心に、代表的な4つのミスを紹介します。
1.指示書・図面の見間違い
指示書や図面の見間違いは、
「見なかったから起こる」
とは限りません。
わたし自身、指示書や図面を見ていたにもかかわらず、見間違えた経験があります。
自分では確認したつもりでした。
それでも間違えました。
この経験から感じたのが、
「見た」と「確認した」は違う
ということです。
ただ目を通すのではなく、勤務先で定められた確認箇所を意識しながら照合することが大切です。
2.材料・部品などの取り間違い
指示書や図面を見間違えれば、その後の取り間違いにつながることがあります。
また、
「前回と同じだろう」
「たぶんこれだ」
という思い込みが入ることもあります。
わたしも、指示書や図面の見間違いによる取り間違いを経験しました。
記憶や思い込みより、そのときの正式な指示内容を確認する。
この習慣が重要です。
3.設定間違い
設備や作業条件などの設定についても、わたしは間違えた経験があります。
厄介なのは、設定している本人は、その時点では正しいと思っていることです。
だから、
設定した → 終わり
ではなく、
設定する → 決められた方法で確認する → 次の作業へ進む
という考え方が必要になります。
具体的な確認方法は、勤務先で決められた正しい作業手順やルールを優先してください。
4.測定間違い
測定も同じです。
測定器に数字が出たからといって、それだけで正しく測定できているとは限りません。
- 測定する場所は合っているか
- 方法は正しいか
- 職場で決められた条件を守れているか
わたし自身、測定を間違えた経験があるからこそ、
「数字が出た=確認完了」ではない
と考えるようになりました。
普段と違う結果や判断できない結果が出た場合も、自己判断せず職場のルールに従って確認します。
【現場歴20年】工場のミスを減らす7つの対策
ここからは、同じミスを減らすために何をすればよいのかを具体的に紹介します。
すべてを一度に変える必要はありません。
まずは、自分のミスに関係するところから見てみてください。
対策1|ミスした作業を工程ごとに分ける
最初に行いたいのが、作業の洗い出しです。
工程とは、作業の流れをいくつかの段階に分けたものです。
たとえば、実際の仕事が、
- 指示確認
- 準備
- 設定
- 作業
- 測定
- 完了確認
という流れだったとします。
「作業を間違えた」と全体を一つにするのではなく、
どの工程で正しい状態からずれたのか
を見ていきます。
問題を小さく分けることで、次に変える行動を考えやすくなります。
対策2|「どこで判断がずれたか」を確認する
次に、なぜ間違えたのかを振り返ります。
たとえば取り間違いなら、
- 指示書を見間違えたのか
- 実物との照合で気づけなかったのか
- 前回と同じだと思い込んだのか
というように考えます。
ここで大切なのは、誰が悪いのかを探すことではありません。
どの行動・判断で、正しい状態からずれたのかを見ること。
「自分がダメだった」で終わらせず、次の行動へつながる原因を探します。
対策3|「注意する」を「何を確認する」に変える
今回、もっとも伝えたいポイントです。
ミスをしたとき、
「次から注意します」
と言うことがあります。
でも、次の作業で具体的に何をするのでしょうか。
そこで、
「注意する」→「○○を確認する」
まで具体化します。
わたしが大切にしている考え方があります。
「気をつける」は気持ちですが、「チェックする」は行動です。
もちろん、気をつける気持ちも必要です。
でも、同じミスを減らしたいなら、気持ちを具体的な確認行動へ変えることが大切です。
対策4|間違えやすいところをセルフチェックする
わたし自身、失敗した作業を洗い出したあと、注意が必要なところを意識して確認するようにしました。
ここでいうセルフチェックとは、
自分が間違えやすい場所を把握し、勤務先で決められた作業手順の中で必要な確認を意識すること
です。
たとえば、
- 過去に間違えた場所
- 自分が迷いやすい場所
- 特に注意が必要な場所
を把握します。
勝手に作業工程や正式な確認方法を変更するという意味ではありません。
勤務先のルールを守ったうえで、「自分はここで間違えやすい」と意識して確認します。
対策5|指示書・図面は記憶ではなく現物と照合する
仕事に慣れてくると、
「さっき見たから覚えている」
「いつもと同じだから大丈夫」
と思うことがあります。
でも、記憶は絶対ではありません。
わたし自身も、指示書や図面を見ていたのに見間違えました。
だから、必要な場面では正式な指示書や図面へ戻る。
そして、勤務先で決められた方法で対象物などと照合する。
覚えていることより、正しい情報を確認できること。
こちらを大切にしてほしいと思います。
対策6|分からないこと・違和感を自己判断しない
工場の仕事では、
「いつもと違う気がする」
「この数値でいいのかな」
「指示内容がよく分からない」
と感じることがあります。
そんなときに、
「たぶん大丈夫だろう」
で進めないことが大切です。
不明点は自己判断せず、職場のルールに従って先輩や責任者へ確認する。
異常が疑われる場合も、決められた手順に従って対応します。
止まって確認できることも、仕事に必要な力です。
対策7|ミスを個人の反省だけで終わらせず改善につなげる
ミスが起きたとき、
「自分が悪かった」
で終わらせるのではなく、作業そのものにも目を向けます。
- 表示が分かりにくくないか
- 確認しにくい状態になっていないか
- 似た物が分かりにくい配置になっていないか
- 作業しにくい部分はないか
と考えます。
ただし、新人が自己判断で表示・設備・配置・作業方法を変更しないでください。
改善したい部分に気づいたら、
- 気づく
- 問題を整理する
- 改善案を考える
- 上司・責任者へ相談する
- 承認された方法で改善する
という流れを意識します。
ミスを、自分だけの反省ではなく、作業を良くする材料へ変える。
現場環境そのものを改善する考え方は、工場・倉庫の5Sとは?仕事をしやすくする改善の具体例と進め方でも詳しく紹介しています。
同じミスを減らす「5STEPセルフチェック」
ここまでの内容を、新人の方でも振り返りやすいように5STEPへまとめます。
ミスが起きた直後は、まず勤務先の報告・対応ルールを優先してください。
そのうえで、再発防止を考えるときに使ってみてください。
STEP1|起きたミスを事実だけで整理する
最初に、
「自分は本当にダメだ」
といった評価ではなく、
何をどう間違えたのか
を整理します。
たとえば、
「○○の指示を△△と見間違えて、違う物を取った」
というように、起きたことを具体的にします。
まず感想ではなく、事実を見る。
STEP2|作業を工程ごとに分ける
次に、その仕事を実際の流れに沿って分けます。
どこで正しい状態からずれたのかを見つけるためです。
作業全体を「失敗した」でまとめないこと。
問題を小さく分けます。
STEP3|そのとき何を見て、どう判断したか振り返る
「確認しなかった」
だけとは限りません。
確認したけれど見間違えた。
合っていると思い込んだ。
前回と同じだと思った。
こうした部分も振り返ります。
「そのとき、何を根拠に正しいと思ったのか?」まで見る。
ここまで考えると、判断がずれた場所を見つけやすくなります。
STEP4|次に確認することを一つ具体化する
原因が見えてきたら、次の作業で何を確認するかを決めます。
「よく見る」
ではなく、
「○○を確認する」
まで具体化します。
いきなり10個の対策を作る必要はありません。
まずは、今回のミスに直接関係する確認から考えてみましょう。
STEP5|先輩・責任者と確認して作業へ生かす
最後に重要なのが、自己流にしないことです。
品質や安全に関係する作業では、自分の判断だけで正式な手順を変更してはいけません。
たとえば、
「ここで間違えたので、次からこの部分を確認したいのですが、この方法で問題ありませんか?」
と先輩や責任者へ相談します。
自分のミスを、自分だけの反省で終わらせない。
必要であれば、職場全体の改善にもつなげます。
ミスが続いたときに避けたい3つの行動
ミスをすると焦ります。
だからこそ、ミスした直後の行動にも注意が必要です。
NG1|焦って作業スピードを上げる
ミスをした。
作業が遅れた。
「早く取り返さなければ」
と急ぐ。
その結果、確認が雑になり、また間違える。
こうした悪循環は避けたいところです。
新人の方には特に、
安全 → 正確 → スムーズ
という順番を意識してほしいと思います。
ミスを取り返そうとして、必要な確認まで省略しないでください。
作業スピードに悩んでいる方は、ピッキングが遅い5つの原因と速くするコツも参考にしてください。
NG2|ミスを隠す・報告を遅らせる
ミスをすると、
「怒られたくない」
「できれば自分で何とかしたい」
と思うかもしれません。
しかし、ミスや異常を把握した場合は、勤務先のルールに従って必要な報告を行うことが大切です。
自己判断で隠したり、報告を後回しにしたりしないこと。
ミスをしないことだけでなく、ミスした後に正しく行動することも仕事の一部です。
NG3|「自分は向いていない」と結論を出す
ミスが続くと、
「自分は工場勤務に向いていない」
と思うことがあります。
でも、
ミスをしたという事実
と、
自分には能力がないという評価
は別です。
わたし自身、見間違いも取り間違いも、設定間違いも測定間違いも経験してきました。
それでも、20年以上工場で仕事を続けています。
大切なのは、ミスを一度も起こさない人になることではなく、失敗から次の行動を変えられる人になることです。
仕事そのものをまだ覚えている途中でミスが多い方は、工場の仕事が覚えられない人へ|「一人でできる」に変える7つのコツも参考にしてください。
まとめ|「気をつける」を「チェックする」に変えよう
今回は、工場でミスが多いと悩んでいる方へ、同じ失敗を減らす7つの対策を紹介しました。
最後に振り返ります。
- ミスした作業を工程ごとに分ける
- どこで判断がずれたか確認する
- 「注意する」を「何を確認する」に変える
- 間違えやすいところをセルフチェックする
- 指示書・図面は記憶ではなく現物と照合する
- 分からないこと・違和感を自己判断しない
- ミスを個人の反省だけで終わらせず改善につなげる
ミスをしたとき、
「二度と間違えないように頑張ろう」
と思うだけで終わらせないことが大切です。
どこで間違えた?
なぜ、その判断をした?
次は何を確認する?
ここまで具体的に考えてみてください。
「気をつける」は気持ちですが、「チェックする」は行動です。
そして、もう一つ。
今日のミスを、明日の確認ポイントに変える。
わたし自身も、指示書や図面の見間違い、設定間違い、測定間違いを経験してきました。
だからこそ、失敗そのものより、その後に仕事のやり方をどう変えるかが大切だと感じています。
今日のミスから一つ確認ポイントを見つけられたなら、次回は違う行動ができます。
その積み重ねが、少しずつ同じミスを減らしていきます。
そして、ミスを減らしながら周囲から安心して仕事を任せてもらえる人の共通点については、工場で仕事ができる人の特徴7選|速さより大切なことでも詳しく紹介しています。
工場のミスに関するよくある質問
Q.工場でミスが多い人にはどんな原因がありますか?
A.確認不足だけでなく、指示書や図面の見間違い、思い込み、慣れによる確認省略、設定や測定時の判断のずれなどが考えられます。
まず「どの工程で正しい状態からずれたのか」を具体的に振り返ることが大切です。
Q.同じミスを繰り返さないためにはどうすればいいですか?
A.「次から気をつける」だけで終わらせず、作業を工程ごとに分け、どこで間違えたのか、何を確認すれば防ぎやすくなるのかを具体化します。
そのうえで、勤務先のルールに沿った確認行動へつなげてください。
Q.指示書や図面の見間違いを減らすにはどうすればいいですか?
A.記憶だけに頼らず、その時点の正式な指示書や図面を確認し、勤務先で決められた方法で実物などと照合することが大切です。
「見たつもり」で終わらせず、「何を確認するのか」を具体的にすることを意識してください。
Q.ミスが多いと工場勤務に向いていないのでしょうか?
A.ミスをした経験だけで、工場勤務への適性を決める必要はありません。
重要なのは、ミスの原因を振り返り、次の作業で具体的な行動を変えられるかどうかです。
Q.工場でミスしたときは、まず何をすればいいですか?
A.まず勤務先のルールに従って、必要な報告・対応を優先してください。
その後、何をどう間違えたのか、どの工程で起きたのかを整理し、再発防止につながる確認ポイントを考えます。
